見えないものを見るために

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abematvの「メディアとフェミニズム」を見て、社会構造に着目すべきだということを改めて考えた

本日4月3日22時~放送されたAbema tvの特集「メディアとフェニスト」を見て考えたことを書き残したい。

私は、この特集で取り上げられたハフポストの「ひろゆき氏が語るフェミニズム」についてのインタビュー記事を読んで感想も書いてきた。
この記事は批判が多かったようだが、私としては肯定的に見させて頂いた。
しかしながら、ひろゆき氏が結局フェミニストを攻撃するような姿勢になってしまったのは残念だなとも感じた。恐らく一部のフェミニストから批判されたのが嫌だったのだろう。


そして、今回Abematvで豪華なゲストとひろゆき氏を交えての対談が実現した。放送直前にゲストのトイアンナ氏が宣伝されていたのがきっかけで、見ることができた。放送一時間ハラハラしてたまらなかったのだが、内容は面白かったし、考えさせられた。

【感じたこと】

フェミニストフェミニズムも個々で違うものだということ。それは、こうした思想に限らず、人の感性や価値観は同じではない。育った環境や経験によって左右されてしまう。
例えば、ひろゆき氏が自分の親を見て「専業主婦は楽」と感じたのも一つの価値観であろうし、東子先生がひろゆき氏の「専業主婦、兼業主婦、シングルマザーの三人では一番専業主婦が楽ですよね?」という質問に答えられなかったのも、結局それぞれの家庭や当人で違うものだから一般化できなかったのだろうと推測できる。
感性、環境、価値観、当事者なのか、外野なのかでも、いろいろ変わってくるものを、「自分はそうだからあなたもそうですよね」と、押し通すのは難しい。となると、誰が楽か、誰がどうなのかという小さい枠組みで議論するのは不毛なのだ。

一方で、男女の賃金格差、女性の就労の障壁、無償の家事労働・ケア労働、性暴力といった大きな枠組み、言ってみれば社会構造の部分こそ注目すべき問題である。誰が楽でもいいから、同じ仕事してるのに男女で賃金が違う、医学部の入試で加点数が違う、それはおかしいからなくせよとなる。なくすためにどうしたら良いか考えるべきなのである。社会構造の問題こそ注目して欲しい。

(シングルマザーはなぜ貧困率が高いのかと考えた時に、やはり女性が稼ぎにくい現状があるのが問題な訳で、現にシングルファザー貧困率は女性に比べれば低い。もちろん貧困のシングルファザーもいる。
https://www.mhlw.go.jpstf(厚生労働省一人親家庭の現状と支援施策の課題について」)
その他にもシングルファザーの方が持ち家に住んでいる世帯が多い、父以外の同居人がいる(祖父母と同居している)ケースが多い等が見えてくる。
構造として、シングルマザーの方が家事や育児の負担が大きく、仕事も稼げないのではないかと。)


【理解できなかった点】

ひろゆき氏が解にこだわるというか、一般化したがるのはよくわからなかった。「専業主婦が一番楽ですよね?」という質問に「あなたの母親はそうだったのかもしれないけれど、全員が全員そうではないですよね」と、答えるのは私にとっては理解できるのだが。何故なら人それぞれ違うものだというのが前提にあるから。ひろゆき氏は専業主婦は楽だという価値観を肯定して欲しかったのだろうか? ひろゆき氏の中ではそれがもう世界の全ての事実みたいな感じなのだろうか。暴力や経済DVを受けている専業主婦と、両親や親戚から援助があるシングルマザーと、どちらが楽ですか?と言われて答えられますか?という話ではないのだろうか。そうすると、その三択から選ばせるという質問の時点で「専業主婦とは、兼業主婦とは、一人親とはこういうものである」という固定概念があるのであろう。それは私もそうだ。

あと、怒りや攻撃性で他者に接すれば、そりゃあ同じような態度で返されてしまうよな。
あのときの興奮状態のひろゆき氏や一部の過激なフェミニストにも言えることだが、「攻撃されるのではないか?」、「自分を否定しているのではないか?」というような迎撃体制になってしまっているというのはあるよな。

ku-too運動の石川氏もやってることは評価されるべきだと思うけれど、石川氏に対して攻撃する人たちはめちゃくちゃいるわけだから(ありゃ集団イジメみたいなもんだ)、石川氏も攻撃体制になってしまって、埒が開かない、平行線、ただのやり合いになっている感じはある。ひろゆき氏の炎上にも似たような構造がある。そうすると、インターネットの一部を切り取って都合の良いように批判するという構造自体の問題が見え隠れしているのは事実だ。

そういう意味では双方向からぶっ叩かれたひろゆき氏は可愛そうだったね。私はあの記事好きだけどね。好きじゃないと感じた人もそりゃいるだろうなと理解している。