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驚異的な性犯罪「n番部屋事件」を許すな

ネットを騒がせている「n番部屋事件」のことであるが。私がこのニュースを知ったのは昨日のことだった。韓国の性犯罪の高さは以前から知っていたが、これはあまりに度を超している。

事のまとめはこちらの記事。

gendai.ismedia.jp

男性は会員限定のチャットグループ、通称「n番部屋」を運営し、女性のわいせつな画像をアップロードして利益を得ていた。

・累計26万人の有料会員が閲覧。
・虐待やレイプ動画
・被害者74人の内未成年は14人

凶悪で、規模がでかすぎる。
事件の背景には「女性蔑視」と「女性優遇」の2つの構造があったとある。

韓国の女性差別問題は、日本と同等かそれ以上と認識していた。韓国のフェミニズム小説「82年生まれ、キム・ジヨン」にあるような、結婚や出産と同時に女性が失う人権問題は、日本人の共感も大いにあった。また、韓国は美人でなければ職すらも得られない、だから整形するという「顔面至上主義社会」であるというドキュメンタリーを見たことがある。しかし、これは単純な男女格差の問題だけではないと考える。

そもそもが韓国の経済格差や競争社会の苛烈さは異常だ。とてつもない受験戦争や就職戦争を切り抜けてもほんの一部のエリートだけが富を得ている状況。そうした中で、夢も希望も捨てた若者たちが増えているという。全てを諦めた若者たちが「n放世代」と呼ばれている。
toyokeizai.net

1.0%を切ってしまった合計特殊出生率、50%を超えた成人男性の未婚率の高さ、10%を上回る若い世代の失業率と、若者世代は今、踏んだり蹴ったりの状況に置かれている。

韓国のマスコミにしばしば登場するのが「N放世代」という表現だ。「N」には数字が入り、「三放世代」は恋愛や結婚、出産をあきらめた世代を、また「五放世代」はさらに家やキャリアも放棄した世代を意味している。いずれも今の若者世代を表現しており、不安定で将来の展望を描けない状況を示している。

韓国の経済格差を描いた映画「パラサイト」のヒットも記憶に新しい。一部のエリートだけに富が集中する現状は、まさにトマ・ピケティが「21世紀の資本」に描いた超経済格差そのものだ。

こうした鬱憤の先は、更に弱いものに向けられる。それが性犯罪の構造なのかもしれない。
(日本や韓国は性教育が遅れていると聞く。児童ポルノやAV先進国の日本と違って韓国は性の取り締まりもキツく、日本のような過激で露骨なAVは出回らないという。どうも男性には性の抑圧というのも何かしらのキーワードになるのかもしれない。)

最近のオタクとフェミニズムの対立といい、解決すべき本質を失っていることがある。

例えば、韓国男性が女性優遇だという兵役は、そもそもが兵役を辞めろ、強制にするなという視点で戦わないといけないのに、同じ「弱者」である女性を叩き、ましては性犯罪での復讐に似た搾取に手をつけるのはおかしいのだ。

だから、もっと強い根元のところを叩かなければ問題の解決にはならない。弱者同士で争っている場合じゃない。


そして、どんな理由があろうと、経緯がどうであろうと、犯罪は犯罪なのである。法の基に裁かれるべきである。
概して犯罪の背景や経緯に注目してしまう私がいるのであるが、罪と分けて考えるようにしなければ。 n番部屋事件を決して許すな。