見えないものを見るために

人生哲学 元図書館司書 図書館・情報学

あの瞬間の、あの頃の場所で

新型コロナのドタバタを口実に前職の同期に連絡を取ってみた。約1年ぶりの連絡だ。同期の一人に子どもができたようだった。やはり時間は止まらない。

連絡を取った同期は私にとって一番の人で、共に辛い時期を乗り越えた戦友だった。まだ私が駆け出しの副館長だった頃に、彼女はいつも支えてくれた。同い年で、仕事もできる、リーダー的な存在。

忘れもしない。彼女と上司二人と私で車に乗って外回りに出掛けた時のこと。仕事が落ち着いた時期だったので、いつもは不機嫌な上司もニコニコしていて、彼女が冗談を言えば、みんなが笑い合っていた。とても何でもない日常だったのだが、私にとってはずっと忘れられない瞬間だった。
それと同時にこの瞬間は続かないだろうとも思っていた。きっとまた繁忙期がくれば世の中が180度変わってしまうのだろうなと感じていた。実際にそうだった。

私は仕事を辞めて、無職時代を経て、現在の仕事に就いた。昔は感情に任せて書きなぐっていた文章も全然書けなくなってしまったし、毎日毎日金と自由な時間のことを考えている。

これで良かったのか??

今でも思う。あの瞬間の、あの頃の場所で、またもう一度何も考えずに笑いたい。けれど、もう二度と元には戻らないのだ。何故なら時間はずっと嫌でも前にしか進まないのだから。